長引くニキビの炎症が治まった後、鏡を見てがっかりする方は少なくありません。
この茶色いニキビ跡こそ、多くの患者様がお悩みになる「炎症後色素沈着(PIH)」です。
今回は、色素沈着のニキビ跡ができてしまうメカニズムから、美容医療でどのようにアプローチできるのかを詳しく解説します。

知っておきたい!ニキビ跡の「色素沈着」の正体
ニキビ跡には大きく分けて「赤み」「色素沈着(茶色)」「クレーター(凹み)」の3種類があります。
色素沈着は、時間の経過で自然に薄くなることもありますが、数年かかることや、摩擦や紫外線によってさらに濃く定着してしまうリスクがあります。
結論:色素沈着には「複合治療」が効果的です!
「レーザー治療は効くの?」「ピーリングだけじゃダメ?」という疑問をよくいただきますが、結論からお伝えすると、色素沈着を確実に、そして早く改善するためには、複数の治療を組み合わせる「複合治療」が最も効果的です。
当クリニックでは、「メラニンを排出する」「メラニンを分解する」「メラニンの生成を抑制する」という3つの異なる役割を持つ治療を組み合わせてアプローチします。
| 治療法 | 主な役割 | 作用メカニズム |
|---|---|---|
| トーニング | 分解・除去 (レーザー) |
衝撃波で沈着したメラニンを 微細に破壊・粉砕し、 体外排出を促す。 |
| ケミカル ピーリング |
排出促進 (角質ケア) |
古い角質を除去し、 肌のターンオーバー (新陳代謝)を活性化させて メラニンの排出を早める。 |
| トラネキサム酸 導入 |
生成抑制 (美白成分) |
メラニン生成の指令をブロックする トラネキサム酸を、 電気の力で肌の深部へ 効率的に浸透させる。 |
各治療法の詳しい解説:なぜ組みわせるべきなのか?
それぞれの治療がどのように色素沈着に働きかけるのか、詳しく見ていきましょう。
① トーニング(レーザー治療):メラニンをピンポイントで破壊
トーニングは、ニキビ跡の色素沈着治療の 主役 となる治療法です。
従来のレーザーよりも圧倒的に短い時間でレーザーを照射するため、熱ダメージを抑えながら、色素を効率よく破壊できます。
沈着してしまったメラニンを根本的に分解し、白く透明感のある肌へと導きます。
② ケミカルピーリング:肌の生まれ変わりをサポート
ピーリングは、肌の表面に溜まった古い角質やメラニンを含んだ細胞を穏やかに取り除く治療です。
肌のターンオーバーを正常化・促進することで、沈着したメラニンを外に押し出す 土台作り の役割を果たします。
また、ニキビの原因となる毛穴の詰まりも解消するため、新たなニキビ予防にも有効です。
③ トラネキサム酸導入:炎症と色素生成を「ストップ」
トラネキサム酸は、メラニンの生成を促す情報伝達物質の働きをブロックする、強力な抗炎症・美白成分です。
ピーリングやレーザー治療で肌が活性化しているタイミングで、この有効成分をイオン導入やエレクトロポレーション(電気穿孔法)によって肌の深部へ浸透させます。
これにより、治療後の 色素沈着の再発を予防 し、ニキビの炎症を鎮める 相乗効果 が期待できます。
まとめ:ニキビ跡の色素沈着は「治せる」悩みです
「レーザー」でメラニンを破壊し、「ピーリング」で排出を促し、「トラネキサム酸導入」で再発を防ぐ。
この複合的なアプローチこそが、ニキビ跡の色素沈着を早く、そしてきれいに改善するための最善策です。
長年のニキビ跡でお悩みの方も、ご自身の肌状態に合わせたオーダーメイドの治療計画を立てることで、明るい未来を目指すことができます。
「このニキビ跡、治るのかな…」と一人で悩まずに、まずは当クリニックの専門カウンセリングで、貴方に最適な治療プランを見つけてみませんか。
Q&A
Q1. トーニングは何回くらいで効果が出ますか?また、痛みやダウンタイムはありますか?
A1. 効果には個人差がありますが、一般的に治療を重ねることで徐々に薄くなっていきます。
・効果の目安: 炎症後色素沈着は比較的根深いため、多くの場合、 5回~10回程度 の継続的な治療を推奨しています。1ヶ月に1回程度のペースで施術を受けていただくことで、肌のターンオーバーに合わせて効果的に色素を分解していきます。
・痛みについて: トーニングは低出力のレーザーを照射するため、 ゴムで軽く弾かれたようなパチパチとした弱い刺激 を感じる程度で、痛みの少ない治療です。麻酔なしでもお受けいただける方がほとんどです。
・ダウンタイム: ほとんどありません。施術直後に 軽度の赤みやほてり が出ることがありますが、数時間~半日程度で治まることがほとんどです。施術直後からメイクも可能です。
Q2. ピーリングやレーザー治療を受けると、逆に色素沈着が濃くなることはありますか?
A2. 一時的に濃く見える現象はありますが、適切なケアをすれば心配ありません。
・濃くなる原因:
治療後の炎症: レーザー治療後は、一時的に肌が炎症を起こし、それが原因で「炎症後色素沈着(戻りジミ)」が起こることがあります。
これはアジア人の肌に比較的起こりやすい現象ですが、通常は時間とともに薄くなります。
メラニンの浮き上がり: ピコトーニングで破壊されたメラニンが一時的に表皮に浮き上がり、濃くなったように見えることがあります。これは改善の兆候です。
・対策: 治療後の炎症を抑え、メラニン生成を抑制するために、トラネキサム酸導入や内服薬、適切なホームケア(特に徹底した紫外線対策と摩擦の回避)を組み合わせて行います。
Q3. トラネキサム酸の導入は、自宅でのスキンケアとどう違いますか?
A3. クリニックでの導入は、有効成分を格段に「深く、多く」浸透させることができます。
・導入の効果: 自宅でトラネキサム酸配合の化粧品を使うことは有効ですが、肌のバリア機能があるため、有効成分が浸透できる深さや量には限界があります。
・クリニック導入の優位性:
ピーリング後: ピーリングで古い角質を取り除き、有効成分が浸透しやすい状態にした上で導入します。
導入機器: イオン導入やエレクトロポレーションといった専用の機器を使用することで、ごく弱い電流や電気パルスを用い、成分を肌の深層部まで 数百倍 も浸透させることが可能になります。
相乗効果: 特にレーザー治療やピーリングと組み合わせることで、色素沈着の治療効果を強力にバックアップし、肌全体を鎮静・安定させる効果が高まります。