ヤグレーザーとピコレーザーの違いとは?
シミやそばかす、タトゥー除去など、美容医療におけるレーザー治療は進化を続けています。中でも「ヤグレーザー」と「ピコレーザー」は、よく比較される2大レーザーです。
「違いがよく分からない」「結局、自分のシミにはどっちがいいの?」とお悩みの方へ。この記事では、 両レーザーの核となる違い から、 効果の差 、 ダウンタイム まで、分かりやすく解説します。

| 特徴 | Qスイッチヤグレーザー (YAGレーザー) |
ピコレーザー |
|---|---|---|
| パルス幅(照射時間) | ナノ秒 | ピコ秒 |
| メラニン破壊の原理 | 熱作用 による破壊 | 衝撃破 による破壊 |
| メラニン色素の粒子 | 比較的 大きい塊 に破壊 | より 微細な粒子 に粉砕 |
| 肌への熱影響 | 周囲組織への熱ダメージ が起こりやすい |
熱ダメージが少なく 、 周囲組織への影響を 抑えられる |
| ダウンタイム | 比較的 長い (1〜2週間程度) 保護テープが必要な 場合が多い |
比較的 短い (数日〜1週間程度) 保護テープが不要な 場合もある |
| 得意なシミ | 深い層にある色素 | 薄いシミまで対応 |
| リスク | 色素沈着のリスクが ピコに比べやや高い |
比較的少ないが、 ゼロではない |
| 価格 | ピコレーザーに比べると 比較的 安価 な傾向 |
従来のレーザーよりは 比較的 高価 な傾向 |
1. 根本的な違いは「照射時間(パルス幅)」にある
ヤグレーザーとピコレーザーの最大の違いは、レーザーを一発照射するのにかかる時間、つまり パルス幅 です。この時間の差が、メラニン色素の破壊方法や肌への影響を決定づけます。
Qスイッチヤグレーザー:熱でメラニンを「破壊」する
原理 : ナノ秒という照射時間によって、レーザーエネルギーがメラニン色素に熱として集中。急激な温度上昇によって色素を 熱で破壊 します。
結果: 破壊されたメラニンは比較的 大きな塊 になります。このとき、周囲の正常な皮膚組織にも熱が伝わりやすく、炎症や熱ダメージが生じ、色素沈着のリスクが高まります。
ピコレーザー:衝撃波でメラニンを「粉砕」する
原理: ピコ秒という極めて短い照射時間(ヤグの約1/1000)で、メラニンを 熱ではなく衝撃波 で 微細な粒子 へと粉砕します。
結果: メラニンが 砂のように細かく なるため、体内の免疫細胞(マクロファージ)が素早く処理しやすくなります。熱作用がほとんどないため、肌への負担が大幅に軽減されます。
2. 効果と得意なシミの違い
破壊原理が異なるため、得意な治療対象も異なります。
ヤグレーザーが得意な治療
| 効果 | 詳細 |
|---|---|
| 濃いシミの除去 | 熱で色素を一気に破壊するため、 輪郭がはっきりした 濃いシミ や 深い層にある色素 に 高い効果を発揮します。 |
| 肌のハリ改善 | 波長(1064nm)が 肌の深部まで届きやすく、 コラーゲン生成を促す作用も 期待できます。 |
ピコレーザーが得意な治療
| 効果 | 特徴 |
|---|---|
| 濃いシミ〜 薄いシミまで対応 |
メラニンを微細に粉砕するため、 従来のレーザーでは難しかった 薄いシミやソバカス にも効果的です。 |
| 難治性色素の除去 | 従来のレーザーで 取りきれなかった色素や、 タトゥー除去にも対応できます。 |
| 肌質改善 (ピコフラクショナル) |
ニキビ跡の凹凸や毛穴の開きなど、 色素沈着以外の 肌の構造的な悩み にも 対応できるモードがあります。 |
3. ダウンタイムとリスクの大きな違い
熱作用の有無は、治療後の回復期間(ダウンタイム)と肌リスクに直結します。
| 項目 | ヤグレーザー | ピコレーザー |
|---|---|---|
| ダウンタイム | 長め (1〜2週間程度) | 短め (数日〜1週間程度) |
| 患部の保護 | シミの箇所に 保護テープが必要 なことが多い |
保護テープが 不要な場合も多い |
| 色素沈着のリスク | 熱による炎症のため、 炎症後色素沈着 のリスクが やや高い |
熱ダメージが 少ないため、 炎症後色素沈着の リスクが低い |
ピコレーザーは熱ダメージが少ないため、肌の回復が早く、 日常生活への影響を最小限に抑えたい 方に非常に人気があります。
4.料金相場比較:ヤグとピコはどのくらい違う?
一般的に、最新機器であるピコレーザーの方が、ヤグレーザーよりも 高価 になる傾向があります。
以下の価格は、あくまで目安(1回あたり)です。
| 施術モード | ヤグレーザーの相場 | ピコレーザーの相場 |
|---|---|---|
| スポット照射 (濃いシミ) | 1個あたり 数千円〜10,000円 |
1個あたり 1万円前後 |
| トーニング (全顔のくすみ・肝斑) |
全顔1回 10,000円〜20,000円 |
全顔1回 15,000円〜30,000円 |
| シミ取り放題 (全顔) |
全顔1回 30,000円〜60,000円 |
全顔1回 60,000円〜150,000円 |
【価格を検討する際の注意点】
上記は目安であり、クリニックやシミの個数、初回限定価格の有無で大きく変動します。
シミ治療は自由診療です。
必ず事前に、 麻酔代や内服薬の費用 も料金に含まれているか確認しましょう。
5.まとめ:あなたに最適なレーザーは?
ヤグレーザーとピコレーザーの特性を理解した上で、ご自身の目的やライフスタイルに最適な治療を選びましょう。
ヤグ vs ピコ:こんなあなたにおすすめ!
| ヤグレーザー (Qスイッチ) | ピコレーザー | |
|---|---|---|
| 治療費 | 費用を 抑えたい 人 | 最新技術に 投資できる 人 |
| シミの種類 | 濃く、目立つシミ を 一気に破壊したい人 |
濃いシミも薄いシミ も きれいにしたい人 |
| 肌への負担 | 熱による炎症 と 保護テープを 許容できる人 |
熱ダメージ を 極力避けたい人 |
| ダウンタイム | 1〜2週間 (かさぶた) の回復期間を取れる人 |
数日〜1週間 で 早く日常生活に 戻りたい人 |
| 最大のメリット | 濃い色素への破壊力 と 費用対効果 |
低侵襲性 と 対応できる色素の幅広さ |
| おすすめ度 | 【コスト重視】で 濃いシミ がメインの人 |
【結果重視】で リスクと負担 を 減らしたい人 |
シミの状態が「薄いのか濃いのか」、そして「ダウンタイムは取れるのか」という2つの軸で考えると、最適なレーザーが見えてきます。
迷ったら、両方の機器を扱うクリニックで「私のシミにはどちらが効果的で、ダウンタイムはどのくらいか」を医師に確認しましょう。
Q&A
Q1.シミ取りしたらどれくらいで綺麗になるの?
A.通常、 3~6ヶ月程度 で徐々に薄くなり、ほとんど目立たなくなります。
Q2.1回で取りきれるの?
A.シミの種類や治療法によって異なります。一般的なシミやそばかすは取り切れやすいですが、ADMなどの濃く深いシミは数回必要な場合があります。
Q3.薄いシミにはどっちがいいの?
A.極端に薄いシミの場合、従来のヤグレーザー(ナノ秒)は、レーザーがメラニン色素を効率よく捉えにくいため、反応しにくいことがあります。
これに対し、ピコレーザー(ピコ秒)は、非常に短い時間で照射することで、メラニン色素をより細かく(微細に)粉砕する能力に優れています。
そのため、メラニン色素の量が少ない薄いシミであっても、効率よく反応させることが可能です。
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